たまに聴くCDがこれです。大瀧詠一さんは、出身校が一緒だったりします。
このCDは1980年〜1985年の大瀧詠一作品をまとめたものなんですが、
風立ちぬ〜Tシャツに口紅のところを聴くと、その頃の事をよく思い出し
ます。この先は私小説と言う事で...フィクションだと思って下さい。
1980年代初頭、僕は両国に居た。彼女は下総中山に住んでいた。
駅で7駅、20分前後で行ける場所。10数キロしか離れていない。
彼女は通学のため、毎日最寄駅を通過していく。こんなに近くにいる
のに会えない...
僕は仕事を始めたばかりで、とても辛い毎日を送っていた。とにかく
寂しくそして、会えない日々が心を枯れさせていった。
短い夏休みを利用して、田舎に帰った。そこで帰省中の彼女に会った。
あんなに近いところに住んでいたのに、500キロ離れた街で会っている
事に、違和感があった。
開口一番、「変わったね...」と彼女。今思えば、社会に出て感じた
ストレスや、都会の喧騒が自分を変えていたのかもしれない。
東京に戻ってしばらく経った秋の日、僕は最後の手紙を書いた。ほどなく
して、彼女から返信があった。「あなたの言っているのは決心であって、
結論じゃない。でもそうしたいなら、しょうがない」と書いてあり、
泣き顔のイラストが添えてあった。
若く経験も無く、身勝手な自分がした事の重大さを恥じ、意を決して
彼女に会いに出かけた。会えない寂しさや、身の上のせつなさが、自分を
変えてしまったんだと...
寮に住む彼女に、駅近くの公衆電話から電話をした。彼女は居なく、
「毎日遊びに行っていて、ほとんどいませんよ」と、取りついだ人の
話...
坂の上から街を見下ろし、大きくお辞儀をした。本当にさよならなんだと
思った。色々な事が噛み合わない。物凄く泣いた。泣くのは、子供の時
以来だった...二十数年経つ今でも、なかなか泣けない自分がいる。
涙はあの時、枯れたのかもしれない。
と、私小説でした。今のように携帯電話があれば、簡単に連絡が取れて、
違った人生があったのかもしれませんね...と、私小説なのにコメント
してしまうのでした。